2016年10月15日

「船を編む」第一話「茫洋」感想

茫漠とした言葉の海。海を渡る術を持たない僕たちはそこでただ佇む。誰かに届けたい思いを胸の奥底にしまったまま。辞書とはその海を渡る、一艘の船だ。またネタバレしてますので宜しくです。
「松本先生が最初に手にした辞書は何ですか?」「祖父の遺品として譲り受けた大槻文彦の『言海』ですね。多大な困難を乗り越え大槻が一人で編纂した辞書だと知り、子供心に多いに感銘を受けたものです」蕎麦湯を入れながら荒木が言うと、相手は岩波国語辞典を買ったのが最初だが、下がかった言葉ばかり引いていた、と告白。松本は編集部に残れないかと荒木に聞くが、女房の容体が芳しくない、と荒木。
自分の定年までに自分の代わりとなる人材を見つけ、松本をなんとしても助け、辞書編集部を統率する、二人で建てた新しい辞書の企画を推進していける若く有能な人材を…。君のような編集者とはもう巡り合えないでしょう、と松本。辞書の編集作業は単行本や雑誌などと違う大変特殊な世界だ。気長で細かい作業を厭わず言葉に耽溺ししかし溺れ切らず広い視野を併せ持つ…そういう若者が今の時代にはたしているだろうか?だが荒木は必ずいる筈だから何としても私が見つけ出す、という。

辞書編集部に荒木が戻ると西岡はふらふら外に出歩いていると言う。事務の佐々木に辞書編集部に向いた人間の心当たりが有ればどの部署の人間でも良いから教えてほしいと頼みこむ。

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「玄武書房から参りました馬締光也と申します、この度は弊社の新刊を置いて頂きまして…」書店の店員にレジ先でそう言い始めて裏に回って欲しいとうざがられている馬締。偶然それを見かけた西岡。馬締が丁寧に、だが営業慣れしてない感じでお礼と挨拶をして出ていくと、レジに西岡が本を持っていって会計の時に、玄部書房の人間と聞き出し、大声で店先で騒いだことを丁寧に詫びる。店を出てすぐに馬締を西岡が捕まえ、書店の挨拶回りにライバル書店の紙袋をぶら下げていくとか、店員も呆れるよと説明。紙袋の色が落ち着いてて良いかなと思ったと言う馬締に呆れ、うちの商品をお預けするそれぞれの書店さんに気持ち良く売って頂けるよう常に相手の気持ちを考える!もっと空気を読め!と説教すると、空気を読むとは西岡さんの言う空気とは呼吸するものではなく場の状況、雰囲気を表す際に用いる「空気」ですね、空気が重いという使い方もある…居心地が悪い、その場を立ち去りたいような思いに駆られること…西岡は丁度そんな気分になってきたよ、と言って別れる。馬締は「ご教示ありがとうございました」とまた馬鹿丁寧に礼を言う。

下宿している早雲荘に帰ると馬締の狭い部屋は本で埋まっている。馬締はトラさんに餌をやり大家のタケさんの招きで夕食のご相伴にあずかる事に。肉屋の跡継ぎが代替わりで新商品を出す事に張り切っている話を聞かされた馬締は今のままではだめだと少し考え込んでしまう。

馬締は夢の中で言葉の海に溺れていた。誰か手を差し伸べて、自分の行く先を照らして…

辞書編集部の荒木は人を探していた。だがどちらかと言うと社内でも避けられていて手ごたえはない。西岡は辞書作りに向いた人材なんてそう簡単には見つからない、と言う。辞書作りには莫大な金と膨大な時間が掛る。辞書はイメージも良いし景気に左右されにくい商品だからこんな時だからこそ志を高く持ち未来を見据えようって気概は無いのか!と憤慨する荒木。辞書はもう何冊もありますしねぇ…と言う西岡に、辞書はどれも同じでは無い、語釈、収録後の傾向など辞書にはそれぞれ個性がある、と言う荒木。これからの未来にふさわしい辞書を我々が作るんだ、と荒木が言うと西岡は昨日出会った空気の読めない営業部の人間の話をする。荒木はその話に興味を持ち西岡を連れて営業部へ。

1つの言葉の持つ多様な意味を瞬時に思い浮かべる。それは辞書を作る為に重要な素質だ。荒木は第1営業部の部屋に入り、ひとわたり部屋を見渡すと馬締をすぐに見つけ出した。

両親が和歌山出身だと言う馬締の名前の由来は問屋場の別名。旅人に馬の手配をする場所だ。それが辞書に載っているか要確認!と書き留めた荒木に驚きつつ、更に荒木に「右」を説明しろと問われ、方向としての右か思想としての右か聞き、箸を持つ方だと言うと左利きの人に良く想われないだろうし心臓の無い方だと言うと心臓が右にある方も居ますね…と思案顔。しばらく考えて、体を北に向けた時、東にあたる方角。と言い切る馬締。では「島」は?と更に荒木が聞くと、ストライク、アイランド、地名の「島」…どれにあたるか聞き、アイランドだと言うと回りを水に囲まれた比較的小さな陸地、と言う。いやそれでは足りない、江ノ島は一部が陸と繋がっていながら島だ。また考え込む馬締に、荒木はその力を辞書作りに注いでほしいと頼み始める。びっくりする西岡。

言葉の海の前に佇む人の、心の、思いを運ぶために、僕たちは「舟を編む」。言葉の海を渡る、「大渡海」と言う船を。


うーんまさに人間型辞書か?!馬締!確かにこれほど辞書編纂に向いた人もいなさそう。もともとこのお話はCRASSYに連載していた小説なのだそうで、2013年に実写映画化もされているそう。自分は雲田はるこさんのキャラデザが気になったので今回見ている訳ですが、テーマやそれに集う人が結構地味な気もする反面、校閲系のドラマとかも最近あるので、こういうの流行りなのかなと思いつつ。
昭和っぽい古い時代から長い年月を経て辞書が発刊されるまでを描くと言うのがいいですね。それだけ長い期間だといろいろな人が編纂者に関わって、また消えてもいく訳で。声優さんが櫻井さんと神谷さんという今をときめく人気声優と言うのも良いんですけど、まずはお話を楽しみたいと思います。

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posted by みずほ at 23:51| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 船を編む 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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